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「今日はおでん売れてるよ。寒いからな~」
おでんの具を追加しながら竜也は独り言のように言っている。
11月のコンビニはすでに冬支度だ。クリスマスへむけてのケーキの発注数もすでにのびてきている。
「私、今日それ買って帰ろうかな」
ステンレスの鍋を除きこんで樹里がつぶやく。
「まさかこれ晩飯にする気?」
菜ばしで挟んだはんぺんをひらひらさせて竜也が驚いたような声をあげた。
「そうだよ。だって栄養もあるし、てっとり早いでしょ」
「佐伯さんって自炊しない人?」
「しないわけじゃないけど……一人分作るのって面倒でしょ。どうせ一緒に食べてくれる人がいるわけでもないし……」
何気に言ってしまった自分の言葉に樹里は“しまった”と思った。
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