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どこまでも広がる蒼弓。雲一つないとてもいい天気だ。
校庭に目を移すとどこかのクラスが体育をしていた。白熱する試合とそれを応援する声が聞こえる。
………興味はない。
視線を空に戻し、ポケットの中に手を突っ込みタバコを探す。
中身はラスト一本のタバコとコンビニで買った安っぽいライター。
タバコを取出し、火を付け、空になった箱を握り潰して無造作に放り投げた。
今、この屋上に居るのは、自分1人だけだ。
ポイ捨てを注意する優等生ぶった奴も、喫煙を叱る嫌な先公も、サボりに対して煩く言ってくる親も居ない。
クラスに戻ったところで説教を食らうか机につっぷして寝るだけだ。
でも、戻るつもりはない………………
クラスにも、家にも、社会にも………
「そろそろ、行くか」
誰にでもなく呟くと、短くなったタバコをコンクリートの床に押し付け、立ち上がった。
給水タンクから降りると、フェンスに手を駆け、一気によじ登った。
校舎裏なら今の時間は誰も気付かないはず………
なんの躊躇いもなく屋上から身を投げた。
後に残ったのは、くしゃくしゃになったタバコの箱とその吸い殻。………そして、何処までも続く蒼弓だけだった………
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