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4月24日(雨)午前10時
………目覚めは最悪だった。時計の針は午前10時を指している。学校はとっくに始まっているが、関係ない。ろくに頭が働かないままベッドから降り、カーテンを開けた。窓の外は暗雲が立ち込め、バケツをひっくり返した様などしゃ降りの雨だった。
「最悪………」
ぼそっと呟くと、枕元のタバコに手を伸ばし、一本取り出し火を付ける。しばらくの間、タバコを吹かすとそれを灰皿代わりのコーヒーの空き缶に突っ込んだ。
床に投げ捨ててあるしわくちゃの制服を拾い上げ、それに着替え、空っぽのカバンを拾うと、タバコと携帯をポケットにねじ込み、部屋を後にした。
階段を降りて台所に向かう。扉を開くと、案の定誰も居なかった。流し台の中に積み上げられた食器の数々、そこら一帯に散らばっているビールの空き缶と食い散らかされたおつまみの残骸。テーブルの上には積み上げられたタバコの吸い殻。
母親は居なかった。俺が小学5年の時に両親が離婚したからだ。父親は昔から酒癖が悪く、俺や母親にはたびたび暴力をふるった。その上ギャンブルと女遊びが好きだった。そんな父親に母親あ愛想をつかし、出ていってしまったのだ。連絡先も電話番号も知らない。ただ残された俺は仕方なく、この最悪な父親と同じ屋根の下で生活を共にしている。といっても、ほとんど家には居ず、キャバクラやパチンコ屋や俺の知らない女の家に出入りしていて最近じゃほとんど顔を会わせることもなくなっていた。
かといって、情けないことに、俺はまったく家事ができず、食事もバイトで稼いだ金でコンビニ弁当やカップ麺を食べたり、夜の街で知らない奴から金を巻き上げたり、ケンカをしたり、悪友とつるんだり、タバコを吸ったりもしているので、あまり人のことを言えなかった。………正直、こんな毎日にはうんざりしていた。
冷蔵庫を開け、残り少ないペットボトルのコーラをいっき飲みすると、それを放り投げ、学校へと向かった。
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