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4月24日(雨)昼休み
………結局、学校に着いたのは昼休みだった。空腹に耐えきれず、駅前のファーストフード店で朝飯なのか昼飯なのかもわからない食事をとってからの登校だった。 スニーカーを自分のロッカーに放り投げ、踵を潰した上履きに履き替え教室に向かう。扉を開けると、まだ昼休みということもあり、グループで弁当を食べる奴等、教室の後ろで雑誌してる奴等、携帯をいじってる奴等の姿が見られた。それを横目に、自分の席に着くと、カバンを引っ掛け、窓の外をぼんやりと見つめた。
「相変わらず、遅い登校だな。」
声の方に顔を向けると、悪友の笹森と水瀬がいた。水瀬は片手を挙げ、「よぅ」と一言言った。
「ほっとけよ。どうせお前等も遅刻だろ?」
笹森は「まあな」と言うと、俺の机に腰を下ろした。それから、三人で他愛ない会話をしばし楽しんだ。
すると、以外な人が俺の席にやってきた。
「これ、今朝配られたプリントだから、必ず両親に見せてね。」
このクラスの委員長だった。容姿は悪くない。むしろ、美人だと思う。でも、性格が俺とはまるで正反対で真面目で努力家。生徒や先公からの評判もいい。ただ、俺は苦手だった。何度も遅刻やサボりを注意されたこともあり、正直、ウザイ。
プリントに目を通すと、そこには進路調査表と書かれてあり、生徒が書く項目と保護者が書く項目に分かれていた。………どうせ、持って帰ったところであの父親が書く訳がない。そもそも、居るかどうかも分からない。それに、進路なんかに興味もない。どうせ、さらに毎日がつまらなくなるだけだ。カバンを開け、プリントを押し込んだ。貰ったばっかりのプリントはすでにくしゃくしゃになっている。
委員長は困ったような顔をすると、「確かに渡したからね。」と言って席に戻っていった。
「かったるい………俺のことなんてほっとけばいいのに……」
「あれっ?お前気付かなかったの?委員長、お前に話し掛けたとき、少し赤くなってたぜ。もしかすると、これは恋の予感か?」
「バカっ、んなわけねーだろ。」
軽く笹森の頭をこずいた。そこで、昼休みの終わりを告げるチャイムがなった。皆、自分の席に戻っていく。次の授業は………国語かよ……まぁいいや、寝よう。
号令が終わり、席に座るとすぐに机につっぷして目を閉じた。1分もしないうちに俺の意識はブラックアウトしていった………
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