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「15も歳の離れた人との結婚に、よくおじさんもおばさんも承知したよねぇ」
藍子が笑う。
母は泣いて喜んだ。やっと嫁に行く気になったと言って。
父は泣いて悲しんだ。ずっと家に居ていいと。
そんな父を説得したのは母だった。
「あたし達が死んだら、この子生きていけないかもよ。自分で料理も出来ないし、何も知らないんだから」
親のくせに酷い言いようだ。
あ、親だから解るって事か?
アタシは陽子より一足先に彼の元にお嫁に行く。
式は挙げずに籍だけ入れるんだ。
「ドレス着て写真だけでも撮ればいいのに」
陽子の言葉に首をふる。
「面倒臭いもん。そんな事より子供作る」
「あははっ、早っ。すぐ子供?」
「あれ? あんた髪振り乱して子育てするの嫌だったんじゃないの?」
アタシの発言にふたりは驚いていた。
だって、あのオッサンの遺伝子を受け継いだ子供って、見てみたいじゃん。
頭が良くて、なんでも知ってて、料理が上手で、ヤキモチ妬きで、そんな彼の遺伝子を残してあげられるのはこの世でアタシだけ……。
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