アタック

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  それからというもの、彼と店内での僅かなお喋りが増えた。     「この間の君が勧めてくれた本は面白かったよ。他にも何かあるかい?」   彼の方から声をかけてくる事もある。     「これ、映画になった話なんですけど、映画は見た事あります?」   アタシの差し出した本のタイトルを見てから、映画を見たと彼は言った。     「エンディングは映画と原作ちょっと違うんですよ。アタシは原作のエンディングの方が好きなんです」   「へぇー」     じゃ、読んでみるかなとその本を手に持ち、再び彼は口を開いた。     「君は本が好きなんだね。俺も好きなんだ。いろんな世界がそこにあって、知識も得られる」   「あの、アタシ工藤っていいます」   「えっ?」     アタシは普段付け忘れている、【工藤】と書かれたネームプレートを見せた。   胸元に付いているソレを見て彼は笑顔で言った。     「面白いな」   (はぁ? アタシの名字はどこにでもあるけど?)     「俺も工藤って言うんだ」   「えっ? 親戚とか?」   「はははっ、本当に面白い人だな君は」     オッサン……、いや、工藤さんは笑った。  
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