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家に帰ってきてから風呂に入り、湯舟に浸かりながら陽子の言葉を思い出していた。
―恋愛結婚は諦めた―
上手くいかないもんだと思った。
陽子は女のアタシから見ても惚れてしまいそうな優しさと気配りを持っている。
それなのに恋愛に関しては何故か上手くいかない。
いや、理由は解る。
陽子の場合、自分を押し殺し言いたい事を言わないからだ。
陽子に言わせりゃ、喧嘩するのがイヤだそうだ。
喧嘩になるくらいなら我慢すると言う。
それにも理由がある。
陽子の両親は離婚していて、彼女は母親と一緒に暮らしているのだが、離婚するまでの両親は毎日が喧嘩。
幼い時から両親の喧嘩を見ていた陽子は、喧嘩に対して凄く嫌悪感を抱いていた。
付き合った相手が機嫌の悪い時など、気を遣う陽子に相手は苛々するようになる。
何故なら、それは自分が勝手に機嫌を悪くしていて、決して陽子のせいじゃないのを知っているから。
なのに陽子が気を遣う事で逆に責められているような気分になる。
言いたい事があるならハッキリ言って欲しい。
これは昔、陽子と付き合ってた男とバッタリ駅前で合った時に、アタシとも顔見知りだった男が言っていたんだ。
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