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自分なりの道を見つけ歩き出した陽子。
アタシはどうなるんだろう?
「今日は落としてないんだな」
後ろから声をかけられ、その声が誰なのか解っているアタシは、仕事の手を休める事なく答えた。
「やる時はやる女ですから」
「はははっ、こりゃ失礼」
最新刊コーナーで本を並べていたアタシの横から手が伸びてきて、手前にあった少年漫画の新刊を手にした彼。
この最新刊が出たという事は、このオッサンと初めて会ってから2か月は過ぎてるって事だ。
今のところ何も進展が無い。
名字を知った事と、独身だという事しか知らない。
このままだといつまでも本屋で働く店員と客としての繋がりしか持てない。
「工藤さん、アタシと語り合いませんか?」
「え?」
「その漫画について」
彼は手にした新刊をアタシに見せて、これ?、と聞いてきた。
「それです。アタシ今日は早番なんで19時に仕事が終わるんですよ。
工藤さんは何時に終わりますか?」
「得意先次第だからはっきり言えないが……、多分20時くらいかな」
(お? 断ってはこないって事は……)
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