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19時に仕事が終わり帰る仕度をする。
彼が終わるのは20時頃と言っていたから、電話もその頃来るだろう。
それまでの時間を雑貨屋でも行って時間を潰そうと思った。
店の裏側にある従業員用の駐車場に向かい、自分の車に乗り込むと、よく行く雑貨屋の入っているショッピングモールへと走らせた。
3階にある屋内駐車場に車を停め、バッグを肩に下げ店内へと入った。
(はっ!)
アタシは思わず入り口近くのテナントに飛び込んだ。
(藍子? 一緒にいるのはあの男じゃん)
5年前に一度見たきりだったから咄嗟に思い出せなかったが、間違いない。あの男だ。
アタシの入ったテナントの前を藍子は男と腕を組んで通り過ぎ、屋内駐車場へと出て行った。
別に隠れる必要なんて無いのだが、アタシは服を見るふりをして二人に背中を向けていた。
藍子はアタシに気付いていない。
ちょっとぉ、不倫なのにこんな人込み歩いてていいのかよ。
夜の繁華街でコソコソが定番じゃないのか?
アタシの考えが古いのか?
誰に見られてるか解らないのに、大胆な行動だと思った。
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