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もし、あの男の奥さんの友達になんか見られていたら、すぐに奥さんに通報するだろう。
そうしたらどうなる?
修羅場だよ修羅場!
『このドロボウ猫っ!』
『結婚してくれって言ってる訳じゃないんだからいいじゃん!』
『まぁまぁ落ち着いて』
『あんた帰るわよ! いい? 貴女から慰謝料戴きますからねっ』
やばいじゃん。
アタシは思わず藍子に電話をしていた。
「もしもし~」
「ちょっとー、アタシ今見たよ。藍子と彼氏」
「うはっ、ホント?」
そう言う藍子に、こんな人込みで誰かに見られたら修羅場になると、さっきの妄想を織り交ぜ話をした。
「ふふっ、そん時はそん時よ」
そう言って電話は切れた。
藍子……、あんた何考えてんだ?
ボーッと立ちつくすアタシの手の中の携帯が着信を知らせた。
思わず身体がビクッとなった。
ディスプレイに【工藤】と着信の表示がある。
慌てて電話に出た。
彼は今仕事が終わったと伝えてきた。
アタシのいる場所を知ると、此処へ来ると言い、3階にある本屋で待ち合わす事になった。
藍子とは今度時間を作ってゆっくり話そうと思った。
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