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「どうしたんだ?」
ニヤニヤするアタシに声がかかりハッとする。
「あの、アタシと付き合いましょう?」
「は?」
アタシの向かいに座っている彼が目を丸くしている。
そりゃそうだろう。急にこんな事言われりゃ誰でも驚くさ。これは想定している。
「君は何を言ってるのか自分で解っているか?
誰かと付き合いたいのなら、年相応の相手を探したらいいと思うが。君は今いくつだ?」
「君じゃなく聡美です。歳は28」
彼はひとつ溜め息をついた。
「俺より15も下じゃないか……。
いや、ダメだ。もう少し歳の近い人と付き合いなさい」
「無理」
「何故?」
「解りませんけど、ダメなんですもん。付き合っても長続きしないし……」
だからって、と言ったあと彼はまた溜め息をついた。
「絶対ダメですか? 退屈させないですよ。本も面白いの沢山教えてあげますよ。
たまになら抱いていいですよ」
これを聞いて彼は飲んでいた水を噴いた。
アタシに向かって。
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