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「今来たの?」
拾いながら彼に聞くと、1時間近くこの駐車場にいたと言う。
「メールに休憩中だとあったから、今日は仕事だと思ってさ、謝るためにここで待っていた」
「謝るために?
今日早番じゃないもん。1時間前に来てたなら中に入って来れば良かったのに」
そう言ったアタシに、彼は、いやと首を振った。
「仕事の最中にプライベートな事で邪魔するつもりは無い」
年寄り特有の頭の固さ?
でも、何故か嬉しい。
メールで済む事なのに、1時間もここでアタシを待っていてくれた事が。
年寄りはメールが苦手なのか?
「ねぇ、友達から昇格して欲しい」
「ダメだ」
「なんで!」
「考えてみなさい、15も違うんだ。こんなに若い娘が彼女ってありえないだろう」
「有り得るよ。沢尻エリカは22歳違うよ。それに比べたら15なんて可愛いもんでしょ」
「可愛いわけ無いだろ」
「だって……、キュンてしたんだもん」
はぁ?、と首を傾げた彼に初めて異性にキュンとした事を言った。
「君は病気だ」
「聡美だってば」
俺は帰る、と言って彼はアタシに背中を向けた。
「真ちゃん、またメールするからぁ」
「なっ……、その呼び方やめろ!」
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