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「しっかし、唇つままれて説教されてキュンするとはねぇ」
爆笑からやっと落ち着いた藍子が言った。
「おかしいのかな? アタシ」
「そんな事は無いんじゃない? 人それぞれだもん。まぁ、私は説教されてキュンしないけどね」
また藍子が笑い出し、アタシも苦笑いした。
「あ、そうだ。再来週なんだけど」
藍子がバッグから手帳を取り出して確認するかのように目を落として続けた。
「22日の水曜日なんだけどさ、ふたり共ヒマ?」
そう聞いてきた藍子に、今のところ予定が入っていない事を伝える。
陽子は、ちょっと待ってと、やはり手帳を取り出し確認をしたあと言った。
「ごめん、その日予定入ってるわ。違う日じゃダメな事?」
「ん、22日じゃなきゃ意味ないんだ。じゃ、聡美だけでもいいや。うちに来てくんないかな?」
藍子んちに?、と聞いたアタシに頷き、そう、と答えた藍子。
「藍子んちってどっちのさ?」
「アパートに決まってるしょ」
藍子は親元で一緒に暮らしていたのに、あの男と付き合うようになって、同じ市内にアパートを借りて一人暮らしをしていた。
「手料理でもご馳走してくれるのかい」
「ふふっ、面白いモノ見せてあげる」
藍子はそう言った。
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