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「藍子だってさ、いつまで例の彼と付き合ってるつもり?」
陽子が話を振ると、黙ったまま眉間に皺を寄せ考える様子の藍子。
「んー、解んないなぁ。彼以上の人が現れないと無理かもしれない」
「それって身体って事?でもさ、アタシ達もう28歳だよ。のんびり恋愛を楽しんでる場合じゃないじゃん」
そう、陽子の言う通り。アタシ達は揃って28歳の今を生きている。
一番結婚願望の強い陽子はかなり焦りを見せていた。
―結婚するなら恋愛結婚よ―
そう言いながら、恋愛こそするけど、結婚にまで至らない。
アタシも一時期に罹った事があるが、今はしたいと思わない。
結婚した同級生を見ていて、アタシの結婚願望は萎えていった。
結婚する事で自由が無くなる、拘束される、苦手な家事をやらされて、おまけに育児……。
髪を振り乱し子供中心の生活にどっぷり浸かり、ただ歳を取っていく人生なんてゴメンだ。
ならば、恋人としてずっと付き合っていける人。
そんな人が欲しい。
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