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待ち合わせの場所は、今日行く居酒屋の近くにある本屋さん。
市内の中心街にあるその本屋さんに久しぶりに入ると、中の様子が変わっていた。
内装を変えたんだろう。
以前よりずっと明るくなった店内に、配置も以前と変わっている。
中を歩き何か無いかと見ていたアタシの目に、一冊の本が飛び込んできた。
【人に聞けないHの本】
(ああ、どこの本屋にもあるのねぇ)
うちの書店でも取り扱っているが、なかなか自分の店で見る勇気が無かった。
手に取り目次に目を通す。
すぐに閉じた。
(おい! 目次だけで赤面しそうなんだけど……)
もう一度開く。
―イケない貴女がイク方法―
(これ、アタシの事かい?えっと、58ページ)
目次に書かれていたページを開こうとしていると、隣に人の気配がして、そっと目をやった。
「ひゃっ!」
「凄い本を読んでるんだな、それも立ち読みで。勉強か?」
「あ、いや、その、うちでも扱ってる本だなぁって思って……」
「それにしては目が真剣だったぞ」
急いで元の場所に戻して店の外に向かい歩き出した。
(なんてタイミングの悪い……)
読めなかった……。
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