恋人昇格

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  「だって……」   「いや、待て、友達だから食べに行こうと誘ってきたんじゃないか」   「解りましたよ。はいはい、そう誘いました! デートじゃないですねっ!」   「解ればよし」   (ちっ、このクソ親父)     アタシが服を持ってくるのさえ忘れてなかったら……。   鼻の下伸ばすはずだったのに!     運ばれてきたビールで乾杯する。     「聞こうと思ってたんだけど、真司さんて結婚したい人?」   「俺? いや、一度失敗してるからね、懲り懲りだよ」     (バツイチなんだ)     「じゃ、ますますアタシとピッタリ」   「君も結婚したくないからか?」     アタシはビールのジョッキを傾けながら彼を見た。   「ふぅー旨い。そうだよ。結婚したくないけど彼氏欲しいもん。 それにアタシ初めてなんだから、キュンてしたの」   「はははっ。君は変わってるよ。こんなオッサンにキュンてしても何もないぞ」   「無いかどうか解らないじゃん。 だから恋人に昇格して?」     そう言ったアタシを彼はジッと見つめた。  
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