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「ちょっと、コレあんたの奥さん?」
キーキーと猿のように騒ぐ彼女を指さし男に聞くと頷いた。
「ボケーっとしてないで止めさせてよっ!」
怒鳴り付けると、彼は慌てて彼女を引き離そうとした。
「こんな女殺してやる!」
彼女の手が藍子の首に伸びた時、アタシは思いっきり横から彼女の身体に体当たりした。
床に倒れ込んだ彼女が起き上がり、再び藍子に飛びかかろうとしてきた。
「バカ男! 捕まえなさいよ!」
アタシは藍子を庇うように前に立ち、彼女を睨みつけた。
とうとう、修羅場だ。
太陽の下堂々と歩き回るからこんな事になるんだよ……。
肩で大きく息をする彼女は藍子に向かって殺してやると何度も言った。
「藍子も悪いけどさ、最初に誘ってきたのアンタの旦那だからね。
結婚してるくせにアンタを裏切ったの旦那だからねっ!」
アタシは彼女に怒鳴った。そしてアタシの後ろで俯く藍子に言った。
「藍子……、もうこれで終わりにしなよ……。こんな時にボケーっとしてる男のどこがいいんじゃい!
旦那に裏切られてんのに旦那じゃなくアンタに向かってくるこの女と、ボケーっとしてる男、お似合いじゃないのさ」
藍子は黙って俯いていた。
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