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「とにかく、こんな騒ぎはごめんだから、帰って下さい。
藍子にはアンタの旦那と切らせるから、アンタも旦那の首に縄でも鎖でも付けておいて下さい」
ボケ男は急いで身仕度を整えると、彼女の腕を取り立たせようとした。
彼女はその手をバシッと叩くと一人で立ち上がり出て行った。
ボケ男も慌てて部屋を出て行った。
アタシと藍子だけの部屋の中は静かになった。
「バカじゃないの! 修羅場になったじゃん!」
「くっ……」
床に両手をついて俯いている藍子の身体が小さく震える。
「藍子、怖かったでしょ。もうこれに懲りたら不倫はやめときな、ね?」
「くっくっ……はは……あはははっ」
(恐怖で狂ったか藍子?)
顔を上げた藍子は大声でしばらく笑っていた。
アタシはどうしたもんだかと考えを巡らせていた。
「どう? 聡美、面白いもの見れたでしょ?」
「藍子?」
「ふふっ、修羅場を作ったのは私よ、この私」
何言ってんだ?
意味が解らん……。
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