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冷蔵庫から缶ビールを出してアタシに1本渡した藍子は、自分もビールを飲みながら話し出した。
「終わりにしたかったの……」
「不倫?」
そう聞いたアタシを見つめ、藍子は頷いた。
「2か月前にさ、別れようって言ったんだ。でも彼が嫌だって言ってさ。 人の多い場所もわざと行ったりしてさ。
でも見つけてくれたの聡美だけ。
見つけてくれたのが奥さんだったらって思ったな……」
でも、誰かに見られて通報されたんじゃないの?だから今日奥さんがここに来たのでは?
アタシの疑問に答えるように藍子が口を開いた。
「奥さんにね、電話したの。彼がシャワーしている間に。今、貴女のご主人が女と会ってますよって。
住所を教えてあげた」
「つーか、今日アタシを呼んだのは最初からコレを見せるため?」
「それもあるし、一人じゃ淋しいから……」
みるみるうちに藍子の目から涙が零れ落ちた。
「藍子……」
「私……、結婚したかった。でも、彼は家庭は壊したくないって言うの。私は彼といるとずっとこの先も愛人なの。
未来なんて無いの。
彼の事好きだけど苦しくて堪えられ……なかったの」
そう言って子供のように藍子は泣いた。
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