お泊り

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  あの修羅場事件から1週間が過ぎて、藍子も落ち着いてきていた。   あの翌日、藍子から聞いたと、陽子から電話が来た。   こんな事だったんなら、予定変更して藍子のとこに行けば良かったと言っていた。   陽子の付き合いはどうなのか聞くと、順調だと返事がきて安心した。     アタシは今日は仕事が終わったら、この間買った料理の本を持って彼のとこに行く。   明日の土曜日は休みだ。   彼も休みだから、今夜は一緒に料理を作ろうと約束をした。   ふたりでキッチンに立つ姿を想像してみる。      『醤油を取って』   『はい!』   『皿用意して』   『はい!』     指示に従うアタシ……。  あれ? まるで助手じゃないか?     まぁ、きっとそんなもんだろう。     休憩後の仕事の時間の長く感じる事。楽しみな事があると、それまでの時間の経過が遅く感じる。   既に気持ちは、スーパーに飛んで行って買い物している。     (いやいや、いかん。真面目に仕事しなくちゃ)     気を引き締めるが、ちょっと油断するとニヤけてしまう。     「ママ、あの店員さん、なんか変……」   小学生の女の子が母親に言っているのが聞こえた。     (変で悪いか!)  
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