お泊り

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  カートを押すアタシに、食材を物色する彼。   アタシの想像とは逆のパターンだ。   アタシの押すカートに野菜、肉などが入れられていく。   それだけを見ても料理のバリエーションが少ないアタシには、何を作る気なのか見当がつかない。   支払いを済ませ、彼の車の後ろをついてマンションまで行った。   来客用の駐車場に車を停めて、エレベーターに乗り5階まで行く。   なんだか、共働きの夫婦が、仕事帰りに一緒に買い物をして帰ってきた図のようじゃないか。   悪くない。     部屋に入り、早速手提げバッグからエプロンを取り出し身に付けた。   彼もスーツから着替えて現れた。     「ジャージかよ……。オッサンだ」   「バーカ。家じゃこれでいいんだよ。帰ってきてまで窮屈なカッコはしたくないんだ」     うちの父親も家で同じカッコをしている。   ジャージはウエストがゴムだから楽なんだ、と何処にでもジャージを穿いて行く。   出っ張った腹を持つ父親のジャージ姿とは違い、まだ見た目はいいが、きっと彼もそのうち何処にでもジャージで出掛けるのでは?、と思った。  
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