お泊り

6/17
前へ
/119ページ
次へ
  「アタシ、今日米といだだけだ。真ちゃんがチャチャッとやっちゃうからさ……」   「聡美にカレーまかせたら、何時に出来上がるか解らないだろ。 聡美が米で、俺がカレーで正解だよ。米とぎながらポケーっとしてるから手は止まるしさ」   「へへっ。手際のよさに見とれてた」     こんなのは「慣れ」だと彼は言った。   母も同じ事を言っていた事がある。   結婚して毎日朝昼晩と作っていたら慣れてくるし、料理も上手になるんだから、と言っていたのを思い出した。   別に作るのが嫌いという訳じゃないが、母を見てると大変そうで嫌になる。   朝ご飯を食べながら、今晩何作ろうかしら、と言っている母の頭の中には、料理のメニューしかないみたいで、それを毎日繰り返しているのが嫌だ。     他にも考えたい事が沢山あるのに、結婚すると考える事は献立。   自分ひとりなら何でもよくても、家族がいればそうはいかないだろう。   やっぱり結婚は自分の自由が奪われると思う。   結婚しなければ、こんな風に一緒に作る事が遊びのひとつのように出来て、ラクだと思った。  
/119ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4821人が本棚に入れています
本棚に追加