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「アタシ、今日米といだだけだ。真ちゃんがチャチャッとやっちゃうからさ……」
「聡美にカレーまかせたら、何時に出来上がるか解らないだろ。
聡美が米で、俺がカレーで正解だよ。米とぎながらポケーっとしてるから手は止まるしさ」
「へへっ。手際のよさに見とれてた」
こんなのは「慣れ」だと彼は言った。
母も同じ事を言っていた事がある。
結婚して毎日朝昼晩と作っていたら慣れてくるし、料理も上手になるんだから、と言っていたのを思い出した。
別に作るのが嫌いという訳じゃないが、母を見てると大変そうで嫌になる。
朝ご飯を食べながら、今晩何作ろうかしら、と言っている母の頭の中には、料理のメニューしかないみたいで、それを毎日繰り返しているのが嫌だ。
他にも考えたい事が沢山あるのに、結婚すると考える事は献立。
自分ひとりなら何でもよくても、家族がいればそうはいかないだろう。
やっぱり結婚は自分の自由が奪われると思う。
結婚しなければ、こんな風に一緒に作る事が遊びのひとつのように出来て、ラクだと思った。
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