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DVDを借りたあとにコンビニに寄り、歯ブラシとビールとつまみを買ってきたのを思い出した。
冷蔵庫から缶ビールを出してきて彼の後ろに座り、飲みながらホラー映画の続きを見る。
叫ぶとまた怒られるから彼の肩ごしに画面をチラチラと見た。
彼の大きな背中が、怖い場面になった時にちょうどいい壁になって、安心出来た。
「なぁ、自分だけビール飲んでんのか」
「あ! あまりの恐怖に真ちゃんの分忘れてた」
冷蔵庫からもう1本缶ビールを取り出して彼に渡すと、ありがとう、と言って受け取った。
ビールをゴクゴクと音を鳴らしている喉の、上下に動く喉仏に男を感じてしまった。
そして、缶から離した唇を見ているうちにキスしたくなった。
そういえば、恋人に昇格してからまだ一度も彼とキスもしてない。
やっぱり年寄りはそういう事から遠ざかっていくんだな。
「何見てんだ? 映画見ないのか?」
顔をこちらに向けた瞬間に彼の唇に自分の唇を押し当てた。
柔らかい唇。
唇を離すと、彼の手が伸びてきてアタシの肩を抱き、もう一度唇が近付いてきた。
「真ちゃん、アタシ1回で満足」
「は? 俺の満足は?」
「知らん」
言い終わると同時に唇が重なった。
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