28歳

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  お笑いのDVDを貸してくれと言う陽子が、帰りにうちに寄っていく事になった。   藍子は今晩、例の彼との愛の時間だと言って帰っていった。   アタシの車の助手席に座った陽子が話し出す。     「ねぇ、藍子ってさ長いよね?」   「何が?」   「例の彼との付き合いよ」   「ああ……」     確かにそうだ。   知り合いから頼まれて、一晩だけ宴会場のコンパニオンをした時に知り合ったんだから、5年前になる。     急に人数がふたり足りなくなって、とアタシのところに知人から電話がきて、誰かやってくれる人がいないかと言われて藍子を連れて行ったんだ。         「ちょっとぉ、私声かけられちゃった」   ビールの空き瓶を手に、裏に戻ってきた藍子は言った。     アタシ達が、この日限りのコンパニオンを勤めた会場は、某生命保険会社が自社の保険に加入している人を対象にゲストを迎えてのトークショーと食事会をやっていた。     「何? 保険屋かい?」   「ううん、違うでしょ? だって座って飲んでるもん」   「なんだってさ?」   「ここ終わったら飲みに行かないかって」   (どんな男だ? ここにナンパしに来てる奴は)    アタシは藍子と一緒に会場に戻り、どの男なのか教えてもらった。  
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