お泊り

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  ホラー映画もそっちのけで、お風呂を入れてくる。   彼は映画を見ていたから、泊めてもらう御礼のつもりでアタシがお風呂の準備をした。    なんか、映画鑑賞よりもそっちが今のアタシには重要な事のように見えてたらどうしよう。   おまけに、年寄りのオッサンだから経験豊富な感じがする。     実のところ、アタシはイクという事が解らない。   今まで何人かとエッチはしてるけど、イッた事がない。   それがどんな感じなのか聞いたり、読んだりして知識はあるけど、それを体験した事が無い。   それって女として未熟な感じがしているのはアタシだけだろうか?     イカない女って、どう思われるんだろう……。     あの本の事を思い出した。   【人に聞けないHの本】     読んでおけば良かった。     「お風呂のお湯入ったよ」   「ん、もう少しで映画が終わる……あ、先に入ってきたらいい」   そう言った彼は、映画を一時停止して隣の部屋に消えた。     停止された画面を見ると、主人公が何かに驚いた表情をしたまま止まっている。      『貴女イッた事ないのぉ? いやぁビックリ!』    (悪いか!!)      画面を睨みつけるアタシの元に戻ってきた彼は、タオルと彼のパジャマを持っていて、それを手渡してきた。     「何怒ってんだ? ちゃんと洗濯してあるから、これ使いなさい」   「うん」   アタシは洗面所に向かった。  
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