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「真ちゃん、ちょ、ちょっと待って!」
「なんで?」
「なんか変っ! ひゃーっ……や、やめてェー」
おかしな感覚に怖くなりアタシの身体が逃げる。
そして、そのままベッドから落ちた。
あの先が、藍子の言う天国?
その天国までもう一歩のところでアタシは引き返してきてしまった。
「大丈夫だ。俺の事をもっと好きになって、あとは素直になりゃイケる」
(素直……)
気持ちのいい事を、気持ちいいと素直に受け入れればって事だと、彼は言った。
(朝からする話かよ)
「頑張ってみる」
「はははっ。頑張る事じゃないけどな」
「あ、お腹すいたよね、何か作ろうか?」
何が作れるんだ?、と聞かれたから、目玉焼きと答える。
キッチンに行き、冷蔵庫からタマゴを取り出し、遅い朝食の準備をした。
「ねぇ、真ちゃん、食パン買ってきて」
「俺はご飯がいい」
「ご飯炊いてないもん」
彼は立ち上がりパンを買いに行くのかと思いきや、米をとぎ始めた。
炊けるの待ってたら遅くなると言うアタシに、日本人なら米だろ、と譲らない。
(頑固ジジィだ……)
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