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「あ、私さぁ、今月末に引越しするから」
居酒屋の小上がりで、ビールで乾杯したあと藍子が言い出した。
借りていたアパートを出て、親の元に戻ると言う。
通ってくるあの男のために借りたようなアパートだから、別れた今そこに住んでいる意味が無い事と、お金を貯めると藍子が言う。
「お金?」
アタシがそう聞くと、結婚資金を貯めるんだ、と藍子は言った。
「ついでに彼氏も見つけなきゃね」
「そうなんだよ。ねぇ、陽子の彼氏の友達に誰かいない?」
藍子は明るく話すが、もう大丈夫なのか?
何かを察したのか、藍子は笑って言った。
「もう大丈夫だよ、私。これからは幸せに向かって突き進むのさ!」
陽子も彼氏に聞いてみる、と言い、藍子のこれからを応援するとも言った。
陽子の方も彼との交際はいたって順調との事。
この間、初めて小さな喧嘩をしたと嬉しそうに話す。
今まで気を遣ってそれをを避けていた陽子が、彼と喧嘩になったあとドキドキしたけど、なんか嬉しかったと言った。
「喧嘩って互いの意見のぶつかり合いなんだよね」
どんな事で喧嘩したのかは言わなかったが、陽子の嬉しそうな顔を見てホッとした。
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