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「そっかぁ、聡美も順調に進み始めたわけだね。結婚するなら彼の歳も歳だから早く考えなくちゃね」
「えっ? 結婚は考えてないよ。彼も結婚したくない人だし」
あ、そうなの?、と陽子が言った。
「うん」
「まぁ、そういう付き合いも有りじゃん。不倫じゃないんだから、したくなった時はすればいいんだし」
焼鳥を頬張り藍子が言う。
このままずっと一緒にいたいと思うけど、それは結婚してという意味じゃないんだよね。
会いたい時に会って、自分ひとりの時間もあって、そういうのがいいんだ。
でも、このまま付き合いが続いたら結婚したくなるんだろうか?
「オッサンの知り合いにいい人いたら、アタシに紹介してね」
藍子が口にした。
アンタは誰でもいいのかよ、とアタシが言うと、出会いは多いにこした事ないじゃんと返ってきた。
焼鳥の串で皿を突きながら藍子は続ける。
「だってさ、28だもん……。もう少し若かったら出会いもそれなりにあったと思うんだ。
………もったいない事してたよねぇ、アタシ。でも楽しかったんだから仕方ないか」
そう言った藍子の目にうっすらと涙が滲み出した。
もしかして、まだ彼を想う気持ちが残っているの?
「よし解った! 藍子の幸せをアタシが見つけてくるから。まかせといて!」
アタシは藍子の肩を叩きそう言った。
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