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まさかこんな事になるとは思わなかったのだ…。
自分の浅はかさに嫌気がさす。
全てにおいて甘かったのだ。
「くそっ!」
小さく毒づくがもう誰の耳にも届かない…。
ここは真っ暗闇で自分の手すら見えない。
落下していく感覚と、体中の痛みだけはっきりとある。
一体どこまで落ち続けて行くのか?
一体どこに行ってしまうのか?
「ごめん…、守れなくてごめん…」
もはや呟く自分の声さえも聞こえなくなってきた。
それでも自らに誓うように口にする。
必ず…、必ず帰るから…。
すると突然、辺りが眩しく光り始め、王子の体は光の渦に吸い込まれていく。
「…―っ!」
ここから先は天国なのか、地獄なのか…、誰も知らない未知の世界―――。
暗闇から一転、光の眩しすぎる白に、また王子の視界は奪われる。
「くっ…、ぁっ…――」
そのまま王子の全てを飲み込んだ光は、パタンとドアの閉まる音と共にまた静かな暗闇に戻る。
そこで俺の意識はぶつりと途切れた…。
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