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まぁこれが休日だったら、このように惰眠を貪っても一向に構わないのだが、あいにく今日は平日であり、彼は高校生だ。
いくら眠たくても朝は起きなければならないのだ。
一輝の二度寝中の頭の中では、大きな葛藤が生じていた。
起きろ、起きるんだ一輝!睡魔になんか負けるな!今ここで起きないと遅刻するぞ!遅刻したら、なんか多分クラス中に笑われるぞ!爆笑されるぞ!……いや多分そんなに笑われないと思うけど……でもクスクスはされる!なんか影の方で女子が「クスクス、あの人寝坊したんだって、ダサ」ってなるぞ!いいのか!それにあいつは確実に笑う!政人は絶対笑う!もう満面の笑みをみせる!それでもいいのか!
寝ぼけているせいか、被害妄想に膨らんだ葛藤を二秒程ですませ、満面の笑みの政人(この人物については後々嫌でも知ることになるので、気にしないで頂きたい)を五秒想像すると、むくりと体を起こし、壁に投げ付けた目覚まし時計を見る。
そして沈黙を二秒。
…………あと五分いける
そう判断すると、一輝は体を倒しベッドに委ねると、また眠り始める。
一輝は負けた。
男子高校生にとって、睡魔とはとても魅力的なものであり抗いがたいものなのだ。
その前では、一輝の意思など紙よりも薄いものだった。
まぁそんなこんなで、また眠りにつこうとした一輝であったが、それにまた邪魔が入った。
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