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ん?
読者の皆様はこう思ったことでしょう。
何でこの少年、夏芽って呼んでるの?
さっきまで命緒って説明してたじゃん。
と、当然疑問に思うでしょう、しかし、今はまぁ気にしないで頂きたい。
ふ~ん、この子って夏芽って呼ばれてるんだ、命緒だか夏芽だかよく分からないけど、まぁいっか。
ぐらいの気持ちで読んで頂きたい。
そういうわけで、一輝は夏芽(一輝がこう呼ぶので、こう表記する)に訴えたが、夏芽はぽかぽかガンガンと殴り続ける。
「だから痛いって!」
「…………」
「何か言えよ!」
「………………ぽか」
「…………え?」
「ぽかぽか」
「…………」
「ぽかぽかぽかぽか!」
「…………」
「ぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽかぽか!」
「…………イラッ」
自分でぽかぽかと擬音を付けながら殴り続ける少女に、一輝は苛つき始め、それがピークに達すると、あるものを放った。
「かわいこぶんな!」
それはデコピンだった。
電光石火の勢いで繰り出されたそれは、フライパンとおたまの間を通り、夏芽の額へと一直線に迫ると、気持ちの良い高い音を鳴らしてヒットした。
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