1898人が本棚に入れています
本棚に追加
「やあっ! やだっ、離して!」
硬い胸板を押して、身を捩(よじ)りその腕から逃げ出そうと試みる。
でも宗也の腕の力は強くて……。
私は初めて男と女の力の差というものを味わった。
「何が『嫌』だよ。お前自分で気づいてないのか?」
「え……?」
嘲るような声音に、私は眉を寄せて宗也の顔を見上げた。
真っ先に形の良いバランスの取れた顎が見え、その先にある目にたどり着く。
間近で見て、初めてその目が茶色いことに気付いた。
その目は、さっきの声と同じ様に私を嘲っている。
最初のコメントを投稿しよう!