Act.1 館の主

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 今すぐに泣き叫びながら宗也を殴り倒したい。  片方の腕は自由だから無理なことではない。  けれど、やっぱり殴るわけにはいかないから拳を握るに留めている。  でも、腕を掴んでいた宗也の手が胸を鷲掴んだ瞬間、私の理性はプツンと切れた。  もう、我慢できるかぁ!!  そして殴ろうと拳に力を入れた次の瞬間――。  メェヘェェ  メェヘェェ  と、辺りにヤギと思われる鳴き声が響いた。  は?  へ?  ヤギ?  近くにいるの?  でも近くにそんな気配は感じない。  どうして?  どこから聞こえてくるの?
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