Act.1 館の主

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 その後は無言で腕を引っ張られ、歩かされる。  不機嫌そうではあるけれど、ちゃんと連れてってくれようとしてるんだ……。  …………これは、一応お礼言っておいたほうがいいのかな……? 「……その…………ありがと……」  お礼を言うのには物凄く抵抗があったけど、何とか声を絞り出した。  きっと今の私の顔、悔しさと羞恥で真っ赤だ。  宗也は驚いたような表情で私を見て足を止める。  私は赤い顔を見られたくなくて、その視線から逃れるように顔を背けた。  数秒の沈黙の後、宗也は「ふぅん……」と呟く。  
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