Act.1 館の主

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 手首にチリッと小さな痛みを感じるとその唇が離れる。  離れたその場所には、赤い痣――キスマークが残っていた。 「っ!!?」  初めて体に残された唇の痕に、私はまた顔に熱を集める。  体中の血液が集まったんじゃないかと思うほどの熱さに、頭がクラクラした。 「これから三ヶ月。その間にお前を俺の女にしてやるよ」 「なっ!?」  楽しそうに宣言した宗也に、私は言葉を無くして金魚か鯉のように口をパクパクと動かす。  そんな私を見つめる茶色い目だけは、子供のように無邪気な色を映していた……。  
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