Act.2 婚約者候補

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 呆けた表情でシャンデリアを見上げていると、前を向いたままの女性にピシャリと叱られた。 「余所見をしているとまた迷いますよ?」 「あ、はい! すみません!」  私は反射的に謝り、また歩き出した彼女に着いて行く。  そんな私の後ろから宗也も無言で着いて来た。  あれ?  でもちょっと待って?  裾の長いスカートを滑らせながら歩く女性の背を見て疑問に思う。  この人、私のほう見たっけ?  ううん、一度もこっち見てないよね?  なのにわたしが余所見してるのが分かったの?  この人何者!?  後ろにも目がついてたりしないわよね!?  そんなこと有りはしないのは分かっていたけど、ついつい不審な目で見てしまう。
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