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「婚約者候補に選ばれたんだからぁ、それなりの家の出のはずなのに。ふふっ……なのにお金にがめついなんて笑っちゃう」
語尾にハートでも付きそうなくらい可愛らしく話しているのに、少女のその言葉はかなり挑戦的なものだった。
「なんや? ……確か、麻李藻(マリモ)とか言うたか? 金は大事やで? 何も考えんで豪遊しとるアンタとは違う」
関西弁少女改め、沙耶香さんはいい度胸だとばかりに麻李藻と呼んだ少女に睨みを効かせる。
「しかも当て字ばっかの妙な名前。笑えるんはウチよりアンタの方や」
「な、なんですってぇ~!?」
いつの間にか私のことなんかほっといて、二人は女の戦いを始めていた。
ちなみにもう一人の中央の美女は素知らぬ顔でお茶を飲んでいる。
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