Act.2 婚約者候補

20/32
前へ
/795ページ
次へ
   確かにあの天使のような声の後では話し辛い。  麻李藻さん、可哀想……。  と思いながら、私は密かにそれが自分ではなかったことに安堵していた。  だって、私の声は綺麗でも何でもない上に、女にしては少し低めの声だ。  可愛らしくすらない。  だからごめん、麻李藻さん!  心の中でのみ謝罪をし、私も自己紹介を始めた。  他の三人とは違い、睨むようにしっかりと宗也の目を見る。  こんな男御免こうむりたいけど、宗孝に近付くためには……復讐を遂げるためには、宗也の心を私に向かせなくちゃならない。  まずはそれからだ。  そう決意をし、私は口を開く。
/795ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1894人が本棚に入れています
本棚に追加