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ジュードにはジュードの、自分には自分の、やるべきことがある――とでも言うのかな。わからないけど、自分もジュードも強いし、離れて戦っていた方が世の中のためになるだろう。そんなところだ。
それに、《ライバル》の後をいつまでも付いて回るのも馬鹿らしい。
「テメエの心配って、えらそうに言ってるけどね、ジュード。研修でも気を引き締めていきなさい。私の方が実務に着くのは早いんだから。次に会った時は、あなたから一本取ってあげる」
「おう、そいつは楽しみだな。俺様は生涯無敗の男。ああ、親父は例外だけど」
そろそろ、二人の分かれ道であった。
十字路で、彼女は立ち止まる。
別れ際に、彼へ伝えた。
「なら、勝ったら結婚してよ」
しばらくして――
ジュードは大昔の約束を思い出したように、大きな笑い声を、暮れる十字路に響かせたのである。
本当におかしそうに笑う。身体を折って、ずっとそうしている彼の様を、彼女は静かに見守り続けた。
さんざん笑い倒したジュードは涙を浮かべながら、最後に、大きくうなずいたのだ。
「いいぜ、いいぜ。是非そうしよう。なにせ俺様だ。約束は破らねえよ」
そして騎士はあっさりと分かれ道の、彼女とは違う方へと歩き出した。
その背中が片手を振りながら言う。
「かと言って、手加減も知らん男だけどな。せいぜい腕上げとけ。じゃあ、またな、――――」
強い風が吹き抜けて、騎士が呼んだ彼女の名前だけは何処かへ流されていった。
「うん。また」
彼女は明るい笑顔を浮かべたあと、彼とは逆の道を歩き始める。
never end..
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