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「……なん…で?」
土屋が小さくそうこぼした。
殴り倒して、さよならを言った手前、“心配になった”とは口が裂けても言えなかった。
俺は、土屋から顔を背けて黙秘を試みる。
「…上着……」
「……え?」
「貸してくれてありがとう…」
土屋のいきなりの言葉に、俺は返事を返せなかった。
しばらくの沈黙のあと、土屋はゆっくり立ち上がって、俺の方を見た。
「な、なんだよ…?」
「……何でもない。」
土屋はそれだけ言うと、俺の横を通り過ぎ、体育館裏から離れていった。
「…なんか、調子狂う……」
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