4272人が本棚に入れています
本棚に追加
/519ページ
「で、本当の所は一体なんで見てたんだ?」
湊谷は涙目になってしゃがんだ状態から私に聞いて来る。
どうやら今度は、おふざけは無しの方向らしい。
「少し気になっただけよ。ここ最近彼女、休みが多いし」
私は彼女に目を戻して湊谷にいう。
だが、そこにはもう既に彼女の姿はいなくなっていた。
一体、どこへ行ったのかしら?
私は周囲を見回して、彼女がどこへ行ったのか確かめようとする。
「小此木千百合なら、さっき教室から出て行ったけど」
こんな時間に……?
もうすぐ授業が始まるじゃない。一体何処へ行ったのかしら。
私の疑問は言葉になって出ていたらしい。私の疑問に対して、湊谷は呑気な口調で答える。
「トイレにでも行ったんじゃない? ほら、突然尿意をもよおした、とか」
確かに、それもあるかもね。
その時は湊谷の言葉に納得したが、彼女は授業が始まって十分しても帰って来る気配を見せなかった。
それだけか、彼女はとうとうその日一日、教室に帰って来る事はなかった。
本当に一体何があったのかしら?
「湊谷、小此木さんについて何か知っているの?」
「さてね? 俺は何も知らないぜ?」
最初のコメントを投稿しよう!