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「なあ、美結さぁ、俺は変わっているかな」
やけにまじめな口調で、そう言う湊谷。
そんな事いやでも分かっている。
「あんたは変わっている程の変人よ、変わり過ぎ。周りとは違ってるわよ」
「……なら、うん。まあ」
「あんた今日は随分と元気ないわね。なにかあった?」
余りに覇気が無さ過ぎる湊谷。
普段ならもっとハイテンションなのに、今日に限ってめちゃくちゃ酷くなっている。
こいつの性格からシリアスな空気なんて考えられる訳が無い。
あり得るとするのなら……。
「まさかあんたあの事を?」
「なんでも無い。今日は帰ってくれないか?」
目を逸らして私にそう言う湊谷。
「けっ、あんたと一緒にいたって面白くないわよ。覚悟しておく事ね」
「済まない……」
湊谷の言葉はやけに弱々しくて、なんとも普段からは感じ取れないものだ。
全く私が悪いみたいで後味悪いわね。
その後私は鬱々とした気分で自室に戻り、ゆっくりと眠りについた。
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