パーティって華やかな感じだけど、やっぱり面倒事らしい

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私が声をかけると、湊谷は首にかけているタオルで、額から流れている汗を拭う。 今の湊谷の格好は上半身裸で、随分とゆとりのある長ズボンを穿いている。 なんとも修行中、といった風貌だがこれで外に出歩けば、間違いなく変態だ。一度やらせてみたいな。 ちなみに妹は朝が弱いので、湊谷がこんな事をしている事は知らない。 体に刻まれた無数の傷と、引き締まった筋肉質な身体がなんとも、歴戦の戦士を思い出させてくれるが、前髪と眼鏡の所為でなんとも言えない微妙なものになっている。 「毎朝やらないと意味が無いって、ケンイチの師匠たちも言っていたからな」 キャップをひねり、内容物を飲み干す湊谷。 「そんな事をして、なんか楽しいの?」 「ん、やっぱ真似してみたいじゃん? 無拍子とか二重の極みとかさ、スバルのディバインバスターとかさ」 「……あんたのその根性にはつくづく恐れ入るわよ」 「そりゃどうも。最近はいろいろと覚えたぜ。極限太陽〈マキシマムキャノン〉とか」 「もう良いわよ。その傷見られない程度にしなさいよ」 「分かっているさ。これをあの子に見られる訳にはいかないからな」 湊谷は自嘲気味に笑いながら、生々しく自分に刻まれた傷の一つをなでる。 「さて、俺もそろそろ朝食の準備でもするか」 それだけ言うと、湊谷は家の中に帰って行った。
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