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「お前は頭が足りない上に、言葉も足りねぇんだよっ。」
「あんたには言われたくないんだけど。」
及川の頭を、自分の胸に引き寄せて抱き締めてやる。
そうすれば、及川は憎まれ口を叩きながらも、抵抗もせずに俺に身を委ねてくるんだ。
目を凝らしてみれば、見えてくる。
及川の気持ちがちゃんと俺に向いているってことが。
気持ち悪いぐらい分かりにくくてめんどくさい女だけど、やっぱり手放せない。
百歩譲って、俺が努力してやるよ。
お前の表情や仕草を、一つ一つ見落とさないように。
「……あ。ごめん。」
「何が?」
「灰原から貰った指輪。アレ、ムカついたから河原に捨てちゃった。」
「……アレ、あげたんじゃねぇし。貸しただけだし……。」
「細かいこと言ってないで、新しいの買ってよね?あと、屋上の鍵!紗耶香にあげたでしょ!?最低ー。」
「うるせぇな。分かったから、ちっと黙れよ。」
そう言って、俺達はムードも何もないキスをした。
きっと、コレが一番俺達らしい。
この先も、言葉が足りない俺達は、きっとこんなふうにぶつかり合いながら苦悩の連続を繰り返していくんだろう。
及川と一緒なら、それはそれで悪くない。
そんなことを考えている自分がいた。
「あ。錦野潤の荷物どうしよ……。まとめて保健室にでもぶちこもうかな……?灰原まとめるの手伝って!」
「はぁ?やだよ。俺、今日は酒飲んで寝たい気分だし。」
「え?あんたもしかして図々しくもウチに泊まる気?」
セブン★スターの吸殻
★★★FIN★★★
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