1034人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
「パート社員だってのに、首切んないで待ってくれるって?良い職場で良かったさね」
「うん。長期休養でも少し給料出るし……本当、助かる……」
不意に欠伸が一つ出た。
気持ちが和らいだせいか。
母の顔色が変わる。
「ほれ!無理してないで布団入って寝なさい!昨日殆ど寝てないんだべさ」
確かに。
横になったが、一睡も出来なかった。
「うん。……じゃあ、少し寝るかな」
追い立てられるように二階の自室へ行き、着替えて布団に入る。
「したら、母さん、畑行くからね!父さん畑に携帯持ってってるから、何かあったら電話しなさいよ!!」
下から母が大きな声で言った。
「はーーーい」
私も大きな声で答える。
過保護過ぎるよ。
小さい子供じゃないんだから。
頭まですっぽり布団を被る。
涙が止まらない。
家の中には私一人きりなのに、誰にも見つからないと言うのに、布団の中で、声を殺して泣いた。
最初のコメントを投稿しよう!