👑変わらないもの

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その場から離れたくて、あたしは逃げ出した。 もしかしたら、やすが追いかけてくるんじゃないか…、とか考えたけど気付けばあたしは1人だった。 きっと、あたしなんか構わずに壁打ちでもやってるんだろうなぁ…。 『ぐずっ』 何か、謎に涙が溢れてきた。 あんなこというなんて思ってなかったよ…。 あれじゃ、本気で全国制覇目指してる人に対して失礼だよ。 「「これより関東大会準々決勝━━緑山中(埼玉)VS青春学園(東京)の試合を始めます!!」」 ……始まったんだぁ。 …応援行かなきゃ……。 なんだかんだいっても、無愛想なやすがあたしは好きだ……。 意味わかんないけど、今更思った。 走ってきた道を戻り始める。 パシィッ ザッ あれが噂の……青学1年レギュラーかぁ。 でも…、 「ハイッ!!」 やすが押してる。 「「ゲーム2―1チェンジコート」」 フェンスを登って少し乗り出し 『さすがじゃん、やす。はいっ、タオル』 鞄からタオルを取り出しやすに向けて落とす。 「…帰ってなかったんだ」 『なっ「ええ~~~っ、全日本選手権4連覇した元プロの息子さんなの~っ!?」 大きな声で遮られる。 それを聞いて、やすは黙ってベンチに座り込む。 沈黙が続き、それを破ったのはやすだった。 「別に恐縮しないでよ」 静かに立ち上がり、コートに向かいながら青学の子に向かって 「確かにパパの全日本選手権4連覇は未だに破られてないケド、たぶん世界に行っても通用したと思わない?」 ……やす… 未だにパパって呼んでるんだ… と今更思った。 1人バカなこと思ってると 「ふぅーう。汗かくのあんま好きじゃないんだ~~」 また、タオルで少しかいた汗を拭きながら 「汗かいちゃう前に終わらせるからね」 そう言いながら試合がまた始まる。
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