日常篇①

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茹だるような暑さの中、俺は立ち尽くしていた。 道路のむこうには陽炎が見える。 風空町。 それがこの町の名前だった。 大きな高層ビル群が立ち並ぶ街並みを少しだけ離れたところにこの町はあった。 「それぐらいかな…………」 名前だけが俺がこの町について知っている事だった。 花火大会はいつあるとか、どの店がおいしいとか、コンビニはどことか、何もしらない。 「でも今日からこの町で暮らさないといけないんだよな……」 誰に言ったわけでもない。 ただ自分に言い聞かせただけだ。 やっぱり父さんについて行けば良かったのかもしれない。 そんな弱気な考えが頭をよぎりそうになった。 「………まずは住む所だな……」 学校の事も考えるとこれが最重要課題だ。 俺は手頃な住処を探すため、刺すような日差しの中歩き出した。
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