プロローグ

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それから、風の様に過ぎた15分。まさにその通りの時間で、自らの家の前までたどり着いてしまう。 何処にでもある普通の民家の前。雨は変わらず降り続き、玄関の門をヒタヒタと濡らしている。 「あの……ここ、僕の家だから……」 俺は変わらぬ小さな声で、ボソッと呟いた。今日初めて会った少女を前に、どうしたらいいか分からなかったのだろう。挙動不審にも程がある。 昇降口から繋がれた手も、離していいやらいけないやら。 全てが分からない事だらけだった。 と、俺の家を一目見た彼女は、ニヤリと笑う。 「むぅ……そうか。ここか。ふむ、覚えた。覚えたぞ。ふふっ!」 今思えば、この言動で彼女がどんな人間だったかなど直ぐにわかった気もするが、さすがは無邪気だった幼き頃の俺だ。そんな事、考えようとすらしなかった。 「あの……ありがとう!」 そんな言葉と共に、悪の一片すら感じさせない緩い笑顔を彼女に向けていた当時の俺。
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