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「あ、ああああの、輝面さん?」
「なんだ?嬢ちゃん。俺は今見ての通りか、な、り、忙しいんだが」
輝面の事務所にて。
女子高校生で魔術使い見習いの如月弥生は、自身が扱う術式である折り紙の練習をしながら、隣で和菓子の制作に勤しんでいる自分の師匠に話し掛ける。ちなみに輝面の格好は白い割烹着に同じ色の三角巾と、古き良きお母さんスタイルだった。
「ま、まま前からきき気になってたんですけど、ま、魔術使いさんの仕事って具体的にはどういった事をす、するんですか?」
「んなもん。魔界から紛れ込んだ動物やら物品やらを保護、もしくは回収して持ち主に返却って仕事だ」
「で、ででででも、わ私今まで一度も輝面さんが、は、働いてる所見たことないんですけど」
「……おい。まさか俺のイメージは働かずに茶と和菓子ばっかり楽しんでるニートみたいなもんになってんじゃ、ねぇだろうな?」
「ヒッ!!な、ななななってないです。全然まったくなってないです!」
輝面の目つきが鋭くなったのを敏感に察知して慌てて宥める弥生。
「ハッ。確かに嬢ちゃんの前で仕事をしたことはまだ無かったな。つってもなぁ、俺が主に請け負う仕事は頻繁に起こっちゃならねぇもんだからなぁ」
「ひ、ひひ頻繁に起きてはならないって、ど、どんな内容なんです?」
「あぁ、俺の仕事はな。こっちで犯罪を犯した魔法使いをとっちめるって仕事、なんだよ」
「ふぇ!?は、はは犯罪者をとっちめる?し、しかも魔法使いさんの?」
「そういうわけで、俺の仕事は不定期なんだ。まぁ、その分報酬はたんまりだから生活には困らねぇがな」
「ず、随分と荒っぽい仕事なんですね。え、ええと。じゃあ、るる涙子さんは何を主に仕事としていらっしゃるんですか?」
「あぁ、あいつか。あいつはな、主に魔界からやって来ちまった獣の保護だったな確か」
後は極稀にだが、と輝面は続ける。
「自力で魔法使ってやって来ちまう馬鹿な餓鬼の相手も進んで引き受けてたっけな」
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