弟子になれ？

第１話

新聞広告は、文字通り新聞に掲載された広告だ。商品やサービス、企業自体を宣伝する一般的な広告が多いが、中には新聞広告以外にはあまり見られない独特な広告もある。

ある日の新聞の広告欄には、誰しもが興味を引くような独特な広告があった。

その広告とはこのような内容だ。

『弟子求ム』

と、ワープロではなく明らかに手書きで、しかもかなりの達筆で書き込まれていて、その周りにはぐにゃぐにゃした線や幾何学的な図形の模様が印刷されているという物だ。

弟子を必要としているらしい事以外、ぱっと見ただけでは伝わらないというシンプルにも程があるこの広告。

しかし、とある少年。森野璃音（もりの りおん）はこの広告に興味をもった。

その理由は達筆な文字でも、見たことの無い模様でもなく、それらのさらに下にあった。

そこにはワープロで小さくこう書いてあった。

時給２０００円。高校生優遇、と。

高校に進級しても値上がりのない月々の小遣いに不満を感じていた、普通の男子高校生である森野には、時給２０００円は天からの恵みだったのだ。